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やっぱり誤字脱字は氷山の一角

ペルソナ2罪(PSP版リメイク)レビュー

ペルソナ2 罪ペルソナ2 罪
(2011/04/14)
Sony PSP

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先日クリアしたのでレビュー書きますよ! クリア後にレビュー書くと言いたいことがたくさんあるらしく、だらだら長ったらしくなってしまいました。

ペルソナシリーズの2作目の前半となる『ペルソナ2罪』、一言で言うと面白かったです。このブログを見れば分かる通り、私は普段ペルソナ3・4をメインに書いているのでシリーズの先代として興味はあったのですが、ちと据え置きはきついかなと思っていたので携帯機への移植は大変嬉しいところ。戦闘のグラフィックやロード時間などに大分不安はありましたが、あまり流行に乗るということをしないのでたまにはいいか! と思って購入しました。ちなみに総プレイ時間は50時間ほど。短いなと思ったけど意外とやっていました。

ストーリー

ストーリーは「噂」がキーワードで、人々の噂や思いが現実化していき、お約束として滅亡へと収束します。それと同時に登場人物たちの因縁(という単語がとても合う)が明らかにされていく様は、ものすごくベタなんだけどそれ反則だろ! くやしい…! でも…感動しちゃう! 級でした。全体的にとてもよくまとまっていると思います。

ただし細かく見ていくと、所々置いてけぼりになるというか、展開が酷くてツッコミが追いつかないところはありました。舞耶姉の紋章に関する論理の飛躍とか、舞耶姉とゆきのさんの圧迫取材とか、舞耶姉が普通に銃をブッぱなしてたりとか、防空壕の出口とか、飛行船から普通に飛び降りて大丈夫なのゆきのさんとか、お姉さん方しっかりして下さい。という感じで、昔の人っておおらかだったんだな……という一般論に行き着きました。まあこのへんは笑ってすませばいいと思います。

戦闘

プレイする前は戦闘が非常に心配で、なぜかというと、前作の女神異聞録ペルソナPSPリメイクで戦闘が全く楽しくなかったからです。古いグラフィックや戦闘システムに慣れていなかったのだと思うのですが、RPGは戦闘命! な私としては大いに購入を迷う点でした。罪のプレイ動画を見て、まあ何とか行けそうだと踏んでから買ったほど戦闘は大事であり、私はビビリなのです。

もう一つの理由としては、レビューで「戦闘の前後のロードが長い」という意見が結構見られたから。これは確かに少し気になります。メディアインストールをしていない状態では多少長く、インストールをすればさほど気になる長さでもないのですが、ロードしているときに右下にLOADINGと出るので、どうしてもロード時間が気になってしまいます。これ、LOADINGの表示が出なければ大分体感的に違ったのではないでしょうか。あとエンカウントは頻繁です。アトラスだからこんなもんだろーとか思いますが、もうちょっと抑えてもらえるとイライラが減ります。

戦闘のグラフィックやシステムは大きくは初代ペルソナと変わりはなく、特にグラフィックはドット絵の小さいデフォルメキャラがちまちま動くので、慣れるまでは何をしているのか分からなくなりがち。変更点は、攻撃範囲・陣形・月齢の廃止と、合体魔法が加わっているところです。正直初代は要素詰め込みすぎて、最初から5人操作するのは難しいです。しかし2になっても相変わらず属性や状態異常の種類は豊富で、特に状態異常はそんなに必要なのか! とツッコミたくなる時はあります。

攻撃順序は敵味方含めて速の数値に依存して決まり、その順番をぐるぐる繰り返します(順番入れ替えは可能)。これはプレスターン制やワンモアプレスに慣れていると、番狂わせが起きにくいのでやはり少々退屈です。しかしシステムは時代を経て洗練されるものだと思うので、そこは仕方ありません。それよりも、戦闘のテンポが全体的に悪いことのほうがマイナス点です。コマンドを決定してからのキャラのモーションと攻撃のエフェクトに微妙な間が入ったり、全体攻撃のダメージがひとりずつ表示されるのは最後までなんだかなあといった感じでした。そういうわけで戦闘ではほとんどエフェクトをスキップしていて、そうするとやっとテンポがよくなりますが、ダメージ表示のタイムラグはどうにもなりません。惜しいです。

あとは若干使い勝手が悪いなと思う点がありました。「戦う」コマンドを選んでキャラごとに行動を選択しますが、その時にもアナライズ出来るようにして欲しかったです。それから途中までキャラの行動を選んだ後に行動順を変更すると、また最初のキャラから選択し直しになってしまいます。△を押せばオートになるので選択した分はその通りやってくれますが(オートの設定をリピートにしている場合のみ)、これも何とかならなかったのでしょうか。

しかし戦闘を合体魔法でシメるとたまにペルソナのステータスが上がったり、スキルを覚えたり、変異能力を身に付けたりするので、どうやって最後に合体魔法でとどめをさそうか考えるのは楽しいです。

悪魔交渉・ペルソナ召喚

悪魔交渉は楽しいことは分かっていたので心配していませんでした。悪魔の反応も楽しいし、正攻法で攻めていてもたまに怒るやつがいたりとか、気が抜けません。面倒ですけど。交渉は掛け合いのパターンが多くて、キャラ導師の関係も分かって面白いです。ただちょっと淳にツッコミ入れただけです。

ベルベットルームに入ったとき思ったのが「あれ、ひょっとして合体ないの?」でした。ありません。今作では悪魔と交渉して手に入れたスペルカードでペルソナを召喚するのですが、ペルソナごとにスペルカードの必要枚数が設定されていて、それがなんかやたら多いです。初期ペルソナも育ちきったし、そろそろ新しいペルソナ欲しいな! と思っても、スペルカードが何百枚と必要なので気軽にペルソナを召喚出来なかったのが不満でした。かと思うと終盤には余るスペルカード。そもそも戦闘してレベルを上げないと上位のペルソナを召喚出来ないのに、召喚するには悪魔を倒さず交渉してカードをもらわなければならない、あちらを立てればこちらが立たずというシステムには多少矛盾があります。せめて枚数をもう少し調整してくれればよかったなと思います。

追加要素

前作リメイクのBGMが酷かったので(曲がではなく、雰囲気に合ってないという意味で)、今回オリジナルとリミックスを選べるようにしたのは賢い判断だと思います。リミックスも音質向上版といった感じです。音楽はリミックスのほうにしていましたが、試しに中ボス戦をオリジナルにしたらやっぱり音質に難ありでした。これはその時イヤホンをしていたせいもあるかも知れません。初めてやる人ならリミックス、据え置きをやったことがあって元のままがいい人はオリジナルを選べばいいでしょう。

新オープニングはアニメーションがものすごーく頑張ってると思います。あまりにも皆さんが評価しないので不憫です。あんなに動いてネタいっぱいなのに……。曲はP3・P4の目黒テイストなので、確かに微妙に内容と合いません。曲自体はいいと思うだけに残念です。真3~アバチュあたりの目黒テイストでもよかったんじゃないかとは思います。ちなみに私は旧オープニング前半の湿った昭和臭が苦手です。後半だけじゃダメですか。

エストのプレイと作成ができるシアターモードは1つだけクエストをやりましたが、作業感がすごくて御世辞にも楽しいとは言えませんでした。評価はこれから配信されるクエストの出来が良いかどうかによります。

それと戦闘時に合体魔法を使ったとき、P4風にキャラクターのカットインが入ります。しかしこれが何か微妙……。顔とか関節が微妙……。設定でオフに出来ますし、もともとエフェクトはスキップしていたのであまり目にする機会はありませんでした。これはいらなかったかな。

めんどくさいこと

ペルソナシリーズは、というか女神転生シリーズはなんだか作品間抗争が激しいところで、ペルソナシリーズは2罰までと3からは雰囲気やターゲット層が違うことで両者の対立が見られますが(私からすると旧作ファンの一部が一方的に言いがかりをつけている印象)、なんとなく「旧作は硬派、3からはオサレ(笑)」という空気があります。

ですが今作をプレイしての印象は「ペルソナ2罪が硬派って言ったの……誰だ……?」に尽きます。はっきり言って、罪はキャラゲーです。後続の3・4に勝るとも劣らない。キャラクターに焦点を当てているのでキャラゲーになるのは当然とも言えます。キャラゲーというと語感が悪いですが、登場人物がどれも一癖あって魅力的。「いいところはキャラだけ」という状態に陥らなければ、キャラクターに魅力があるのはむしろプラスになると思います。しかしキャラゲーです。複数で交渉したりする限り。実際にプレイしたことで「3・4はキャラゲー」といった類の意見はより華麗にスルーできそうです。よかったよかった。しかしバストアップ絵を描いているのが副島さんでなかったらまた私の評価は違ったかも知れません。

雰囲気

ちょくちょくP3・P4とは雰囲気が違うという評価を見ますが、確かに違います。罪はライトなオカルトテイストといった感じでしょうか。個人的にオカルティックな雰囲気はピンとこないので好きも嫌いもないのですが、雰囲気が苦手という人には合わないかも知れません。まあ何事も相性なので仕方ないですね。

初回特典

クリアすればサウンドテストでほとんどの曲が聴けるので、目当てはアレンジ2曲でしょうか。出来は……うーん、ちょっと微妙。戦闘曲はブラスアレンジ、聖槍騎士団はロックアレンジ。私がゴリゴリしてるロックとダンスミュージックが好きなせいかも。

まとめ

ストーリーが面白かったのでおすすめです。とはいえ昔のゲームなので、古いグラフィック、システム、それからPシリーズから入る人は雰囲気など考慮すべき点はあります。グラフィックは全身のドット絵が小さいですが、バストアップ絵に関しては現在でも通用するレベルです。好きな時にセーブできるので、携帯機との相性がいい点も○。