真・女神転生IV アトラス 2013-05-23 by G-Tools |
真4をクリアしてからもう1ヶ月が経っていました。早いものです。それで、どうだった? と訊かれると、その実困ってしまいます。文字通り寝る間も惜しんでプレイしたし、間違いなく楽しかったんですが。
最近分かってきたのですが、RPGってプレイ中はゲーム性が大事で、クリア後はストーリーが大事なんだなと。少なくとも私にはそのようです。クリアして1ヶ月経った今、少し落ち着いて来て、プレイ中に薄っすら感じていたモヤモヤの原因がまとまってきたので、こんなに歯切れが悪いんでしょうね。
敢えて言うなら「惜しい」。ゲームとしては面白かったんですが、ストーリーとして見ると微妙な所がチラホラありました。
■ストーリー
ざっくりまとめると、神と悪魔に挟まれ、運命に翻弄されつつ、創世を目指す人間たちの話……でしょうか(ざっくり過ぎ)。基本的にバタバタと人が死ぬタイプのストーリーですが、その描写があっさりと言うよりもあっけないので、所々肩透かしを食らうことが多かったです。
例えるなら、ジェットコースターに乗っていて、さあいよいよ加速するぞと思ったら次の瞬間には終点に着いている感じ。
よく考えると悲劇的でエグい展開になっているはずでも、あまりにもさらっと流されるので高まったテンションのやり場がない(笑)そのあたりの唐突さと展開の強引さが昔のゲームっぽいですね。
またマルチエンディングで4つのルートに分岐するのですが、明らかにトゥルーエンドっぽいニュートラルルートのエンディングはちょっと感慨深かったです(それでもちょっとモヤモヤしますが)。ただ、そうなるとその他のルートは何だったんだろうという感があり、少々残念です。なお短めのルートもあるのですが、それは大変性に合っていて好きでした。虚無。
■設定
中世ヨーロッパを思わせる主人公達の国と、日が登らず荒廃した東京の対比や、ゲーム中の物事が何故そうなったのかなど、周回プレイとメイン以外のクエストでそのあたりが少しずつ明らかになっていくのが面白かったです。ストーリー開始前や平行世界について、プレイしながらうんうん考えを巡らせるのもまた一興。
■キャラクター
キャラクターはどれも好きでした、が、メインキャラのほとんどがストーリーのために動いて喋っている感じなのが残念です。例外として、例えば東京を牛耳っているタヤマは、ディレクター自身の経験が生かされているのか妙なリアルさを湛えていて良かったです。他のキャラクターもこのくらいのリアルさが欲しかった。
■バトル
バトルはのっけから殺しに来るバランスがとても好きです。勝ち負けの閾値をぐっと下げたプレスターンシステムで、あっという間に片がついてしまいます。レベルが上がっても低レベルの敵にヒヤヒヤすることがありました。ただ殴れば勝てる訳ではなく、きちんと対策をする必要がありますが、それさえ済めば嘘のように楽になります。どうやってボスを倒そうか考えるのが楽しいです。
ちなみにセーブは任意で、序盤はバトルが終わるごとにセーブが必要なくらい。バトルで負けた際の救済措置もあるので、安心してヒヤヒヤできます(あえて安全ネットを外す人はいそうですが)。
エンカウントはランダムではなく、シンボルエンカウント方式。アトラスのゲームはエンカウント率が高い印象なので、場合によっては敵を回避できるシンボルエンカウントの方が好みですね。プレスターンシステムだと先攻が圧倒的に有利なため、先攻後攻が自分の操作にかかってくる方が、仮に後攻になっても納得しやすいと思います。まあ納得する間もなく全滅する確率の方が高いですけど……。
■悪魔合体
悪魔同士を合体させて違う悪魔を生み出す、恒例のシステム。今回は邪教の館に行くのではなく、アプリで合体出来るので手軽で良いです。ただ合体方式が従来と変わっていて、「AとBでCが出来る」方式から「Cを作るにはAとB」といった感じになっています。初心者にはうってつけですが、反面、今までシリーズ作品をプレイしたことがある人は、最初のうちは戸惑うかも。
スキルなどの検索機能も充実しているので、好みの悪魔が手軽に作れます。中には苦労して好みの悪魔を作りたい人もいるので賛否は分かれるかも知れませんが、私自身はあくまで好みの悪魔を作るのが目的なのでこれでいいかな。
■音楽
そもそも、真4をプレイするきっかけになったのがPVに使われていたテーマ曲でした。
ゲーム中のオープニングで流れる通称裏テーマも好きですね。ただ、全体的に突出した曲はあまりなかった印象です。メロディーがはっきりした曲より、ノイズのような曲が好み。ティザーサイトや初回特典で聞ける過去曲のアレンジや、テーマ曲のロングバージョンなどは、どれも不穏で素敵です。不穏っていいな。
ちなみに、過去曲をアレンジしたものが随所に散りばめられているらしいのですが、真3を途中までプレイしただけの私にはピンと来ませんでした。既存ファンには嬉しいんではないでしょうか。
■フィールド
お約束ですが、フィールドは実際の東京をモデルにしているため、知っている場所に来ると無駄に楽しいです。看板やらの妙な所で小ネタの作り込みに力が入っていたり。ただ、設定上外が薄暗いのと、突っ立っているとどんどん敵が湧いてきて攻撃されるので、じっくり眺める機会があんまりないのが惜しいところです。それから、時々入り口などが分かりづらい時がありました。渋谷のハチ公像なんて、渋谷の地理に明るい人でないと見逃すレベルです(普段は人が群がってるしね)。
■悪魔絵
従来、悪魔絵を描いてきた金子さんの新規絵はなく、代わりに特撮界隈のゲストによる新規悪魔が追加されています。ゲストを呼ぶこと自体は別にいいんじゃないかと思っているのですが、個性の強いイラストレーターが複数揃っており、あまりにも絵柄が違い過ぎるきらいがあります。パッケージなどではキャラデザ土居さんが新悪魔を描いていますが、そちらはそこまで違和感がないですね。ただ本編での描き直しはネームバリュー的に難しそう……。
デザインはアスタロトやヤマトタケルあたりが好みでした。ナパイアも顔は確かに浮いてるのですが、色合いが毒々しくて嫌いじゃないです。
今作では400体以上の悪魔が出てくるのですが、新旧混ざっているので時期によって金子さんの絵もタッチがかなり違い、3人くらいイラストレーターがいるのでは、と思えてきます。ただ、最近の金子さんの女の子悪魔が可愛いということが分かったのは収穫でした(笑)
■ビジュアルとかインターフェイスとか
フィールドは3Dなのに戦闘に入ると2Dというチグハグさ、公式サイトや誌面での白黒でシックなイメージと、ゲーム画面のややガチャガチャしたイメージとの乖離など、プレイしていれば慣れるのですが、実際プレイするまでは不安でした。
東京全体を見渡すラージマップは、見辛い上に地名が出ないという役に立たなさで、ここだけは本当に何とかして欲しかったです。その割に、敵は通行不可の部分を通り抜けて来る……。それから下画面を操作していると、未だにどれがどれだか分からなくなって、「あれ?」となる時があります。全体的にもうちょっと。
■小ネタ
ゲーム中では様々な「遺物」を拾えるのですが、東京の人間には日常使うものであっても、中世ヨーロッパ程度の文化レベルの国からやって来た主人公達にはまさに魔法。「充分に発達した科学技術は、魔法と見分けが付かない」という文句を思い出します。それらを売却する際に初めて名称が判明するのですが、それに付く解説(主人公の主観?)が楽しいです。
例:
ドライヤー→軽量化された銃だろうか
レギンス→海藻だろうか
つけまつげ→虫の死骸だろうか(まあこれは思いますけど)
解説に限らず、細かいところでクスっとなるものが多いですね。
■終わりに
あくまで私の場合はですが、何となく抱く感覚がペルソナ3、4に対するものと似ています。これはいわゆる巷で揶揄されるような意味ではなく、雰囲気、キャラクター、バトルが好きだが、シナリオに粗が目立ち、納得のいかない部分があるという点が共通しているという意味でです。
ただ、私が二次創作界隈の人間なのでこう思うのかも知れませんが、得てしてこういう作品には二次創作欲が湧くものかと。そういう意味では愛すべき作品になるんだろうなーとぼんやり思ったり。とりあえず、皆もサムライになっていきなり三途の川を渡りましょう。それがいいです。
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