かたくりかたこりかたつむり

やっぱり誤字脱字は氷山の一角

で、結局『The Pathless』は『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』に似てるのか?

はじめに

Switchを買ったら思いっきりブレス オブ ザ 寝不足です。睡眠はちゃんと取ろうね。

さて、『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド(以下BotW)』については、かねてから気になっていたことがあります。それは「『The Pathless』は『BotW』に似てる」という評判です。

評判を聞く限りでは「まあ似てるのかなー」と思っていたんですが、実際にやってみると「そうでもないな?」という感想にシフトしてます

katakurikatakori.hatenablog.com

2021/04/13追記

レビューを見ていると、ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』に似ているという意見がちらほら見られた。私がなぜそれを書かなかったかというと、単にSwitchを持ってないから。プレイ済みだったら多分そう思っただろう。とは言え、インディーズが任天堂に敵うわけがないので、そういう意味でも今後も独自路線を頑張ってほしい。

2021/08/07追記

ただいま絶賛『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』をプレイ中だが、確かに要素は似ている。多分参考にもしているだろう。でもBotWがとにかく自由度の高いオープンワールド型ゲームであるのに対して、The Pathlessの方は操作感が爽快で自由度は低め。プレイした体感は全く違うというのが今の所の感想だ。

実はまだ『BotW』のストーリーはクリアしてません。が、ストーリーのウェイトが軽めのゲームかつ、比較ポイントはそこじゃないのでOKでしょう。

似ている要素

コログの出現場所/隠しアイテム取得の仕掛け

これはまんまです。解き方はちょっと違うけど、石が模様を描いて配置されている仕掛けや、制限時間内に光の輪の中をくぐる/蝶に触れる仕掛けなどはかなり似ています。

各エリアの4体の神獣/神の呪いを解いて正気に戻す

これもかなりそのまんまです。敵に乗っ取られた/呪いをかけられた神獣/神と戦って、正気に戻します。最初に敵の動きを矢で止めてから戦う流れも大体同じ。『The Pathless』の方は神であって機械ではないので、中に入って仕掛けを解く工程はないですが。

『BotW』では一旦戦線から離脱することも可能な一方で、『The Pathless』はその工程が次のエリアに進むキーになっているところが違うくらいでしょうか。

エリアごとに解禁されるフィールド

『BotW』の広大なフィールドと比べると『The Pathless』の方はかなりこぢんまりした孤島ですが、エリアごとにマップ解禁/進行可能な仕組みは割と似ています。『BotW』はマップなしでも一応進めるのに比べて、『The Pathless』は各エリアが高い崖で区切られていて、1つのエリアをクリアしないと次のエリアに進むのはちょっと難しく、自由度は『BotW』の方が高いです。

エリアごとに配置された塔

塔の機能自体は違いますが、ランドマークとしての塔を目指してエリアを開放していく流れはかなり似ています。

各所にあるパズル

『BotW』では各地に散らばる「祠」、『The Pathless』では特に名前はないですが、パズルを解いてアイテムを手に入れる仕掛けが点在しています。ただ、主人公のできるアクションが違うからか、パズルの仕掛け自体は割と別物です。床のスイッチを押すと、扉が開いたりオブジェクトが移動する仕掛けが似てるくらいでしょうか。

空を飛べる

『BotW』ではパラセール、『The Pathless』ではお供のワシの力で滑空できます。フィールド移動が横だけでなく縦にも簡単に広がるので、この辺のアイデアもかなり参考にしているでしょうね。

上昇気流に乗って飛ぶ

一見進めなさそうなところでも、上昇気流に次々と乗ることで移動が可能なところがそっくりです。ただ『The Pathless』の方がこの仕掛けを多用してます。

赤く光るランドマーク

未開放のランドマークは赤く光っていて目立つので、プレイヤーは自然とそこを目指してフィールドを駆け回ることになります。

赤い月の周期と赤い嵐

これについては機能が全く別物で、見た目がちょっと似てるだけですが……。『BotW』では定期的に「赤い月」が発生し、倒した敵が復活します。一方『The Pathless』の赤い嵐はフィールドに常に存在し、場所を点々としています。うっかり巻き込まれるとお供のワシとはぐれてしまい、そのエリアのボスの目を掻い潜ってワシと合流しないといけません。

その他

ワシや目といったモチーフはもしかしたらオマージュかも。

なお、「異常=赤(オレンジ)/正常=青」という色の意味が似てますが、これは他のゲームや視覚表現にも見られる色使いなので、『BotW』特有とまでは言い切れないです。

違う部分

こうして似ている部分を見てみると、『The Pathless』が『BotW』をそのまんまコピーしたゲームみたいに思えてきますが、実際のところゲームプレイの感覚は結構別物です。

広大なハイラルの大地を、ランドマークを頼りにどんどん踏破していくのが醍醐味の『BotW』。言うまでもなく、オープンワールド型ゲームの金字塔のひとつでしょう。

『BotW』は動作の判定がかなり細かく、崖っぷちで敵を倒したら、ドロップアイテムがはるか下に落ちていくのも日常茶飯事。崖登り中に力尽きてズルズル落ちていったり、泳いでいる間にやっぱり力尽きて溺れたりもします。移動に結構コツがいるタイプ探索以外に、装備強化や料理、収集などの要素もあり

一応エリアごとにマップが解放される仕組みではありますが、基本的にあまり制限はなく、自由度はかなり高いです。

一方、春夏秋冬の4つに分かれたフィールドを、弓でスイスイ移動しながらパズルを解いて神々を解放する『The Pathless』。こちらは移動が気持ちよくストレスフリーです。ゲームとしての要素はかなり少なめ

武器は弓のみで、主人公は狩りの達人という設定なのでエイムも細かい判定はなし。矢が切れることもありません(そもそも矢筒を背負っておらず、霊力か何かの不思議パワーを矢として撃ってる模様)。

また、主人公は死なない(一定時間動きが鈍くはなる)のでロードを挟むこともなく、「ゲームっぽいストレス」「ゲームっぽい感じ」が少なめです。このあたりは『Flowery』『風ノ旅ビト』(※Giant Squid主要スタッフの古巣の作品)や『ABZÛ』と共通していて、どちらかというと『ICO』『ワンダと巨像』『人喰いの大鷲トリコ』などの上田ゲーの影響の方が大きいように思います。

『The Pathless』はオープンワールド型ゲームですが全体マップが存在せず(なくてもOKな広さ)、HUDも必要最小限で、「ゲームっぽさ」がここでも可能な限り排除されています。

ただ、『The Pathless』はオープンワールド型ゲームとしては少し惜しいところがあるのも確か。自由度が高く探索の楽しみがいがある『BotW』に対して、『The Pathless』はストーリー進行に関係のない探索をする気があまり起きないのが難点です。『BotW』では「キノコ取ったり崖登ったりするのが楽しくてストーリーのこと忘れてた」みたいな状態になりがちですが、『The Pathless』は「じゃあ次のエリアに行くか」という感じ。トロフィー取得とバックストーリーの把握以外に、各地を巡らせる誘因が弱め。

全体的に、『The Pathless』はリソースの関係や技術的にできないところは思い切って省いてる印象です。ちなみにインディーゲームの割には結構強気なお値段なんですが、それも初オープンワールドだからでしょうか。

まとめ

さて「『The Pathless』は『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』に似てるのか?」なんですが、「かなり参考にしているだろうし似ている要素はあるが、プレイ感覚自体は割と別物」が私の結論です。

『The Pathless』のGiant Squid(および、スタッフ古巣のthatgamecampany)はそれまでリニア型ゲームを作っていたんですが、初めてオープンワールド型ゲームを作るにあたって『BotW』をかなり参考にした感じは見て取れます。

store.playstation.com

www.jp.playstation.com

www.jp.playstation.com

ただし、広大なフィールドを踏破していく楽しみを期待して『The Pathless』をやったら肩透かしを食らうだろうし、Giant Squidお得意の、オリエンタルで神話的な世界やナラティブなゲーム体験を期待して『BotW』をやっても同じことになりそう。

※実は『BotW』にもオリエント的な要素はあるんですが、前面に出てきてはいないです。

だから、プレイ方法が似てる部分はあるんだけど、『BotW』が好きな人に『The Pathless』を勧める(あるいはその逆)、みたいなのはちょっと違うんじゃないですかね。例えば『リトルナイトメア』が、明確に『LIMBO』『INSIDE』フォロワーでジェネリックなゲームなのとは違う感じ。

ln.bn-ent.net

www.jp.playstation.com

www.jp.playstation.com

もちろん、割とそのまんまな仕掛けも多いので、「この仕掛けは見たことある!」という某研ゼミ状態でプレイが楽になる可能性はあります。でも単なるコピーというわけではないし、どちらかと言うと車を運転できる人が耕運機に乗って「車と一緒だ!」ってなる感じに近いかもしれません。

なので、プレイ感覚は似てないけど、もしGiant Squid任天堂並の体力があったらどうなっていたかはちょっと分からない、とは思います(『原神(※未プレイ)』みたいな)。