はじめに
『無双』シリーズのコーエーテクモゲームスが『刀剣乱舞ONLINE(以下、刀剣乱舞)』とコラボしたゲーム。「気になってるけどやってないゲームはさっさとやれ」キャンペーン中につき、体験版だけやったことがある本作をやってみました。
実は私が『刀剣乱舞無双』をやるのってすごく意外なことなんですよ。なぜって無双系コラボはそこまで好きではないし、そもそも原作の『刀剣乱舞』をやったことがないのだ! まあ旧TwitterのTLで知らず知らず睡眠学習をしていたので、キャラは大体分かりますが。刷り込みって怖いわね(ちょうど10周年イベントで大盤振る舞いをしていたので、原作のほうもこの機会にちょっと触ってみました)。
興味本位で体験版をやってみた時、ビデオゲーム(アクション)がド初心者への気遣いが超弩級に親切かつ適切だったので、ちょっと関心したのでした。
※『刀剣乱舞』は2Dでオートバトルのブラウザゲーム
あと、どっちのジャンルにも思い入れが強くないから、仮に合わなくてもそこまでダメージは食らわないかなって…。コエテクのストーリーの善性さって、安楽死の手段があることで生きる希望が湧いてくるタイプの人間には効かないんですよね。ただ、コラボなので概要が見えて肩入れしてないジャンル同士ならまあ大丈夫かなと。
Q.プレイしてみた結果どうだった?
A.コーエーがすごくキャッキャしてた
アクションゲームとしての側面
超初心者に優しい仕様
『無双』シリーズ自体がアクションゲームとしては簡単な部類に入るのですが、『刀剣乱舞無双』はさらにさらに易しい。アクションゲーム、というか「コンシューマ機を触るのが初めて」くらいの超初心者をメインのターゲットにしているらしく、そこに合わせたチュートリアルや機能が揃っています。
序盤のチュートリアル例

Lを倒すと、倒した方向に刀剣男士が移動します
そうだね! Lスティックを倒すと大体のゲームはその方向にキャラが動くね!

戦場ではこんのすけが目標まで誘導してくれます。こんのすけについていきましょう
そうだね! 3Dゲーム初心者は迷子になりがちだから、ナビがいるとスムーズだね!

簡単モードでは、状況に応じて異なる強攻撃が発動します。また、Yを連打しても発動します
そうだね! とりあえずボタンを押していれば後はよしなにスタイリッシュアクションしてくれると嬉しいよね!
この感想はバカにしているわけではなく、ターゲット(超初心者)に合わせた仕様としてはかなり的確なんですよね。ある程度アクションゲームの心得があるプレイヤーなら「当たり前だろうが!」とか「そんなアシスト機能いらんわ!」とか、ともすれば思ってしまいがちな仕様ですが、超初心者には必要です。このあたりのターゲティングはバディミあたりと同じですね(ただしこっちはADV)。
ビデオゲーム(アクション)をある程度プレイできる人間には理解しがたいことなのですが、コントローラを握ったことのない人にとって「目的地にカメラを向けて操作キャラクターを歩かせる」という基礎中のド基礎すら、そこそこ難行なのです。
ビデオゲームプレイヤーとしてはそこは忘れてはいけないし、簡単とはいえアクションゲームのシリーズがこういう配慮をできるのは単純に偉いなーと思います。いや、むしろ簡単だからこそ、そういう配慮のノウハウがあるのかな。
なお『刀剣乱舞無双』の難易度ですが、平均的なアクションゲームから2段階くらい下がる感触でした。つまり私がプレイした「難易度:難しい」は平均的なアクションゲームの「難易度:易しい」に相当します。もっと難しくてもいいんですが、さすがにそれは調整が面倒くさい&ペイしなさそう。
キャラゲーとしては親切
キャラごとにアクションの特色はちゃんとあるものの(ヒット数多め、リーチ長め、一撃が重めなど)、性能差はそこまでないのでどのキャラも割と使いやすい。この辺も超初心者に親切ですね。ちゃんとキャラの刀種と性格に合わせたモーションなのもサービス満点です。
カラチャンの攻撃、足癖が悪くてカワイ~
何だかんだ安定して強キャラのじじい。ビジュアル的にも映えるところはネタ元(刀)の要素か
しかし、ひとついただけない点はあります。キャラゲーとして超重要なフォトモードですが、機能が少ないのがかなり残念です。フォトモードがあるだけありがたい、という感じ。被写界深度は3段階のみで大雑把だし、攻撃エフェクトや敵味方の非表示はできません。露出や明度も調整不可。アングルが自由にできるのは戦闘中のみで、落ち着いて撮影できる本丸待機時はかなり角度が制限されます。そこはもうちょっと頑張ろうよ! 撮影するのは結構楽しいので余計に惜しい。
ところで私はフォトモード使いもバチクソに上手いので色々撮れるってワケ pic.twitter.com/gLGCRoLGrX
— 北 (@kitaonglacier) March 16, 2025
無双ゲーとしては微妙
『無双』シリーズに疎い私が言うのも何ですが、無双のキモである一騎当千感はあんまりないです。敵の数が少なく、強攻撃で強敵だけ叩いていけば特に問題なし。
あえて言えば、リーチが長くて手数が多い巴形薙刀で、必殺技ゲージを溜めるためにザクザク斬るくらいかな。でもそれも強攻撃連打でOK。
時代を経て冷遇されていった薙刀だけど、無双映えはピカイチかもだ
通常攻撃が空気で強攻撃のみで突破できるのは、そもそも攻撃の種類やコンボが最小限かつ強攻撃のショートカット入力があるのと、おそらく「難易度:易しい」時にオートで適切な攻撃が出るのが関係しているかと。まあ仕方ありません。
されど無双、しかし無双
ただ、そもそも前提として私は無双系アクションにあまり興味がないというか、無双? 退屈だよね…と思っているので、無双コラボへの期待値があまり高くなかったところはあります。無双のどこがダルいのかうまく言えないんですが、戦場で次々とミッションが発生して、緩急なくずっとワーワー同じテンションで同じボタン操作を繰り返してるところですかね…。
同じく他社タイトルとコラボした『ゼルダ無双 厄災の黙示録』では、コラボとしての原作リスペクト度合いは文句なしとはいえ、もういいよ無双アクションは…静かで自由なハイラルに戻りたい…と、クリア後に原作(『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』)をつい再プレイしてしまいました。まあ、ブレワイは自由度がかなり高いオープンワールドゲームの金字塔のひとつなので、アクションゲーム的楽しさや自由度を『無双』が張り合うのは土台無理があります。そもそもそこで勝負してないですし。
そこいくと『刀剣乱舞』は原作ゲームが2Dオートバトルなので、どうやっても基本的にすべてがリッチになるしかないのだ。私が多少ダルいと言えど、無双系システムは複数のキャラを立たせるにはすごくうってつけだし、だからこそ他社コラボをたくさん出せるわけですね。
ビジュアル表現、予算と人月、そして虚無ミニゲー
なおリッチとは言いましたが、グラフィックはPS2~PS3時代だったら「美麗」と言われてただろうなーというレベル。ツルツルテカテカ。何というか…予算! という感じがひしひしと伝わります。3Dモデルの形状自体には原作リスペクトとこだわりを感じるんですが、レンダリングが微妙…。Switchタイトルとはいえ、そこはもうちょっと頑張ろうよ!(2回目)
なお、プリレンダムービーは結構綺麗です。殺陣シーンもあるし。
ところで本作はコラボものアクションゲームとしては総合的に「まあ良」だと思っているのですが、本丸で発生するミニゲームはいただけない。虚無。辛うじてゲームの体裁を保ててはいるけれど、経験値や素材アイテムのために虚無ゲーをやるのはキツい。手持ちに余裕が出てきたらやらなくても可です。「初心者向け=つまらない」ではないんですよ、作るのが難しいけど。
特に障害物も仕掛けも皆無のフィールドで、制限時間内にひたすら素材を拾いまくるミニゲーム「収穫」。めぼしい素材だけなら普通に全部拾えるので、スーパーの詰め放題のほうがまだスリルがある
おにぎりを作る虚無ミニゲームで手元(※わざわざ作るのが面倒くさい)を全く見せないところに至っては、一周回って拍手を送りたくなりました。リソースは限られているんだから、おにぎりが謎の光なくらいなんだ。そうだそうだ。
LスティックとRスティックをうまく同時に回すと握れるシャイニングおにぎり(画面外左下にあるはず)

しかし刀剣男士のなかでもオリジナルキャラの面影は、何だかやたらモデリングが丁寧なような…? アクション時のモーションも分身エフェクトが出て凝ってるし。『無双』のω-Forceが作りやすいキャラデザ、ということなのかもしれん。
いや、やっぱりまつげの本数多くない?
ストーリー
〜これまでのあらすじ〜
大変大変! 刀剣男士の集う本丸が敵襲を受けて、主がなんと行方不明に! しかも仲間もたくさん折れちゃって、残りはたったの15振り。しかも主の不在は政府にバレバレだし、こんのすけは何か隠してるし、正体不明の刀剣男士に長谷部さんはブチギレてるしで、三日月さんも主ソングを聴いてる場合じゃないですよ! 政府からは「強襲調査をやれ」って言われちゃうし、俺たち、これから一体どうなっちゃうの〜!?
(こういうあらすじ口調、このレビューで書くと鯰尾っぽいなと書いてて思った)
ストーリーですが、前半でコーエーがキャッキャし、後半でコラボと予算を思い出したようです。
そもそもの『刀剣乱舞』が過去に遡って歴史改変を防ぐというストーリー(薄)なので、当然コエテクお得意の歴史物になるわけです。しかし、自家薬籠中の物だからってすごい勢いでキャッキャしてます。「歴史を守るために戦う刀剣たちと元持ち主でストーリー作っていいんですか!? やったー!」というコエテク(のコーエー)の声がすんごい聞こえる気がする。いやまあ、確かにこのコラボで期待されるストーリーってそれだろうけれども。
※ストーリー担当は『無双』のω-Forceではなく、主に乙女ゲー・女性向け作品担当のルビーパーティーらしいですが…
特に伊達組(鶴丸国永・燭台切光忠・大倶利伽羅)ストーリーなんかは、「これシナリオ担当めちゃくちゃ楽しんでるだろ」と思うようなベタベタ胸熱展開。

伊達政宗(史実)と斬り合う伊達政宗(っぽいイメージの集合体)! これが胸熱でなくて何なのか。歴史物的にも、伊達政宗は「遅れてきた天下人」と称される武将であり、その辺の惜しさIFがアレでソレなことになるため、私もキャッキャしております。それに、もしも伊達政宗が天下を取れていたら、私の祖父がシティボーイだった可能性もなくはないですからね。
まあ、屋内で兜かぶってるレベルなので、「巧みな話運びが上手い」というよりは「ベタに上手い」という感じではありますが。コエテク、ひょっとしてガバガバでベタベタだけど勢いはあるストーリーが持ち味なのだろうか。
他の武将が関わるストーリーでも、敵に起因する歴史物IF展開の数々が散りばめられており、これまたキャッキャを感じさせます。
ストーリー後半からは、歴史物としての側面よりも刀剣男士たちの物語という要素が強くなり、事の真相に近づいていきます。三日月おじいちゃんの名推理も冴え渡る(安楽椅子じじいというやつですね)。あと、前半で出てきた敵とステージがもう1回出てきます。アセットはできるだけ使い回したいもんね…。
ストーリー中のキャラ雑感
ところでストーリー中、原作(ちょい触った程度)とキャラが若干違うかな? と感じたのは、へし切長谷部と歌仙兼定でしょうか。特にへし切長谷部は新キャラの面影に対してピリピリしているブチ切れ長谷部状態なので、ここは好みが分かれそう。多分、主不足でイライラしてるんだと思う。歌仙兼定は原作だともっとワガママ雅マンに感じたのですが、今回は隊長なのもあってか理解のある雅マン、きれいな歌仙兼定です。
なお、オリジナルキャラの面影について。こういうポジションのキャラは下手するとプレイヤーから嫌われがちなんですよね(というか私が酷い追加キャラを浴びすぎた説も有力)。面影は性格:物知らずで天然気味でストーリーの根幹にもガッツリ関わってくるという、要素だけ見ればまあ危ない危ない。ただ、制作側のテコ入れをかなり感じつつもオリキャラヨイショにはなっていないので、男版メアリー・スーではないです。原作ファンでも好きになる人は多そう。
おわりに
『刀剣乱舞無双』、15振りの刀剣男士と数々のオリジナルキャラクター(※史実)が織りなす、コーエーキャッキャゲー(ちゃんと原作ファン向け)でした。
ターゲットユーザーに向けて、特にグラフィック面などがちょいちょい低クオリティながらも、割とちゃんと作ってあります。
絆会話(2キャラ間の会話エピソード)も、いい意味で毒にも薬にもならず、かつ本編で絡みのなさそうなキャラ同士の会話を楽しめるので、コラボゲームのファンサービスとしては正解でしょうね。
刀剣男士キャラはみんないい(というか原作ゲームがほぼそこと元ネタで保っていたのでは…)ので、続編というか使用キャラを入れ替えたバージョンが出たらちょっとやりたい気はします。歴史ネタ的に難しいかな…。幕末新撰組あたりで軽く1本いけそうな気もするんですがいかがっすか。
Q.お気に入りは?

A.薬研かなあ。このゲームにしてはちょっとトリッキーなクセのある使い心地のキャラですが、ショタだけど漢なので。次点でカラチャン


