かたくりかたこりかたつむり

やっぱり誤字脱字は氷山の一角

真木よう子コミケ参加問題について あくまで個人的な感情の供養

真木よう子コミケ参加問題」は、思わぬ形に収束しようとしている。

正直、色々な側面がありすぎて、一体何を言えばいいんだろうと思う。でも、私は自分の考えをまとめるのに大分時間が掛かる質らしく、議論らしい議論はもうすでに他の人達がやっていたし、事の真相については私の調べられる範囲を超えている。何より、この問題についてずっとぐるぐる考えているせいで、途中でほっぽっている二次創作やゲームが進められないじゃないか。ということは、この気持ちをまとめて燃やして供養しないといけない。よしよし。

というわけで、広く論理的な視点ではなく、あくまでもミクロで個人的な感情に焦点を合わせた記録を残しておこうと思う。個人の感情の記録なので、特にオタクでない人に分かりやすく注釈を入れている訳でもなく、読む非オタクがいるかは知らないけど、分からない用語は適宜調べてちょうだいという姿勢。あと見出しもつけてないから読みにくくてごめんな。

だいたいの経緯はこのへんとか。

真木よう子さんコミケ参加表明からの炎上まとめ【クラウドファンディング】

記録を見返してみると、私が「真木よう子コミケ申し込み」のツイートを見たのは8/26。ツイート自体の投稿日は8/25だから1日後に知ったことになる。

この第一報を見ての感想は「コミケでやる必要性を感じない」だった。

ファンに会いたい、恩返しがしたい。それが彼女の表明したことだった。自身のフォトマガジンを制作するというけど、判型とページ数が決まっているだけで内容は未定。その文章からは、とにかくこれが作りたい! という気持ちは全く伝わってこない。資金はクラウドファンディングで800万円を集めるという。

ファンに会いたいのも恩返しがしたいのも、女優としては自然なことだろうし、ファンだって嬉しいだろう。でも、コミケは「とにかくこれが好きだ!」っていう気持ちでぶん殴り合うところじゃなかったっけ? この人は何が好きなんだろう? ファンかな?

彼女のアカウントのホームに行って、関連ツイートを見てみる。…あ、こいつ何も分かってない。コミケに「出店」とか書いてる時点で何も分かってない。コミケのこと全く知らないんじゃないか。芸能人のファン交流のために提供される場所かなんかと勘違いしてるんじゃないか。ここのところ、芸能人が立て続けにコミケにサークル参加して成功したもんだから、自分も一発当てようとでも思ったのか?

違和感から急速に「こいつ分かってない」という不信感が増した気がする。私は、というかオタクはだいたい、ちょろいと思ってオタクを利用しようとするマスメディアや芸能人が大嫌い。そんな芸能人が、オタクの祭典であるコミケに、なんか勘違いして申し込みしてきた。今でこそ、コミケはオタクでない人も知る一大イベントになったけれど、何か事が起これば消し飛んでしまうかもしれない危うい存在。だから参加者は不安要素にピリピリしている。炎上しても文句は言えないな、こりゃ。

と思っていたら、8/28にはコミケ参加辞退を発表。ここで初めて、ファンミーティングが開けない事情もあってのコミケ参加だったことが分かる。

ワタクシの気持ちを皆様に

そして、本人のTwitterアカウントには何やら不穏な動き。アカウント名が「????騙された????」に変更され、アカウントを非公開に。その後、アカウント自体を削除してしまった。

ちなみに前々日の8/26夜には、コミケ参加への批判を受け、当落はまだ分からないがこれから対策をとること、商業誌ではできないコミケならではのフォトマガジンにしたいという意思を表明していた。

昨夜、webニュースにて

実を言うと私はこれは読んでなかった。

うーん。「商業誌ではできない表現がしたい」という心意気だけを見れば、割と同人誌即売会向きではある。というか、そういう表現がしたいんならまだ可能性はあるのか…? と思ってはいたものの、でもやっぱり全体的に見てコミケでなくてもいいんじゃ感はあった。

賛否両論ではあったけど、色々な意味で真木よう子コミケに参加しなくて正解だったと思っている。

芸能人が下手に足を踏み入れると反発を食らう場所、ということすら知らず、何より最初の接触の印象が最悪で、リカバリーも間に合わなかった。

以下のようなツイートがあるくらいなので、やはり場にそぐわない芸能人への不信感が前提として存在する。

それと彼女の場合、叶姉妹が完璧なサークル参加で絶賛された直後なのもタイミングが悪かった。すわ便乗か? しかも作法を心得てないし。ということでより反発や疑念が強まったのだと思う。そんな環境で参加するなんて地獄でしかない。

この時点では、コミケ参加は取りやめるものの、フォトマガジンのプロジェクトは健在だった。でもそれも8/30にはプロジェクト中止になる。

本プロジェクトをご支援くださった皆様へ

この問題、真木よう子コミケ参加に疑問だった人間としては、結局のところ「なんでコミケ?」という疑問が解消されなかったことに尽きる。「絶対ダメ! 来るな!」ではなく、「なんで?」だ。

コミケにはプロだって参加する。芸能人もこの間、叶姉妹が参加したばかり。売上目的で参加する同人作家も、クラウドファンディングで資金を募るサークルもある。ファンとの交流だって一番ではないもののコミケの醍醐味。二次創作だけではなく、オリジナルの作品や評論、写真集だって頒布されている。

でも、「本人が漫画好きという点も含めてコミケ参加者からの認知度が低い女優が、(コミケの参加者とはあまり被らないであろう、そしてコミケのマナーにも疎いであろう)自分のファンと会うために、内容も決めていない、自分が被写体の、同人誌としてはかなり分厚い部類の(コスプレでない)写真集を、クラウドファンディングで800万円集めて印刷し、(ファンと交流するには過酷であろう)冬コミで、企業ブースではなく個人サークル参加で本人が頒布する」となると、いかにコミケがあらゆる表現を受け入れると言っても、やはり「なんでコミケ?」と思わざるを得ない。

ひとつひとつは小さなズレだけど、結果としてものすごくズレたものになっている。

そこで当然こういう疑いが湧いてくる。「この人、コミケがどういうものか分かってないんじゃない?」と。

明らかにファンミーティングの方が向いているのに、なぜわざわざ最悪の選択肢とも思えるコミケを選ぶのか。こいつは何も分からない一般人のファンをコミケに連れてくるんじゃないか? 列形成や頒布がグダグダなことが原因のトラブルなんていくらでもあるのに! 全部憶測だけど、今までもあったトラブルを考えると、やっぱり不信感を持たれるに十分な出来事だった。

明らかに、異文化との接触方法を間違えた、という図。

ちなみに擁護派の言い分は、真木よう子コミケ参加はコミケの理念には反しておらず、反対派の理由は結局のところ感情論で、反論できる筋の通った言い分を持たない。コミケは今までも、懸念はありつつも異分子を取り込んできた歴史がある、ということ。

でも、異文化に接触する際に、相手のルールを知らずに踏み入ったら、当然反発を食らう。それは一番やったらいけないこと。そしてそれは強い怒りを引き起こす。今まで維持してきた秩序が乱されるから。その怒りを無視することは私にはできない。

それを「拒否する方がむしろコミケの理念に反している」とか「普段は表現の自由とか言うくせに、結局自分たちが気に食わないものを認めないのは同じじゃないか」とか言われると、腑に落ちなくて全く落ち着かない。

擁護派の意見に違和感を覚えるのは、私が怒りを感じたのは、こちらのマナーを知らずに上がり込もうとしたことに対してであって、表現そのものではないということ。マナーをわきまえない闖入者への反発と、芸能人が事務所を通さない表現をしたいということへの反発は別物だ。また、彼女の場合は著名ということもあって、影響力も大きいから、「まあまあ、最初は誰でも初心者なんだし落ち着いて」という意見にも完全に同意はできない。図体のでかい象にはそれなりの振る舞いをしてもらわないと。

コミケはあらゆる表現を受け入れることを理念としているけれど、その自由のために「あまり事細かにルールは作らないから、その代わり参加者全員が自覚を持ってくださいね」というところでもある。そういうところで、明文化されてはいないけれど場にふさわしくない参加者に対して、他の人間から排除の力が働くことはある意味必然なのかもしれない。いつもよくある「迷惑なサークル参加者に疑問、批判を投げかける」のに近い力が働いている(毎回のように問題を起こしているのに全く改善の兆しがない少女漫画家とかね…)。

もちろん議論の余地はあるし、リンチなんかもってのほか、最終的に合否を判断するのは準備会。「オタクってマナーにうるさくて排他的なんだな」と言われれば、そこに至った理由も十分あるし、「そうだよ」って言う。だからこそ芸能人にとってはアウェイだし、小林幸子叶姉妹があんなに慎重に参入してきた。それに、ルールを守っている仲間だと見なせば、みんな一転して絶賛する。正直この辺はちょっとケッと思わないところもないけど、礼儀を尽くされたら礼儀で応えるのが筋ってものかと。

ちなみに、今後のコミケのあり方として、「芸能人が商業ではできない表現をする場」になる可能性はゼロではないと思う。コミケの理念としてそこは拒否できないし、拒否しても欲しくはない。ただ、現状ですら二次創作の問題点を抱えているのに加えて、更に厄介な問題を内包することになりそうだけど、それもまたコミケ…なのかもしれない。

なお、今回の事件には裏で糸を引いていた人物が複数いたのではないかという疑惑が持ち上がり、何だか穏やかでない。真木よう子は担がれただけかもしれないと。変更されたアカウント名「????騙された????」とはこのことなんだろうか。

真木よう子を騙したのは北尾修一とCAMPFIRE?DM画像やプロフィール

「真木よう子さんのコミケ参加問題」に裏で関わってた疑惑のある人達に関する話

真木よう子のコミケ突撃騒動は家入一真「CAMPFIRE」側の仕切り不足が原因か

で、もしこれが本当だとするとオタク側は振り回され損なんだけど、準備会に近い人物がコミケ参加をそそのかしたとなると、疑惑の目は準備会にも向けられる。安易に「準備会の判断に従う」なんて言うこともできなくなるかもしれない。

コミケは常にぐらぐら揺らいでいて、だからこそ「これが好きなんだ! 文句あっか!」という思いで持っているようなもの。その根本の部分は変わらないでほしいし、そこを共有していない人はやっぱり来ないでほしいなと思った次第。

あ、真木よう子の今後のコミケ参加は、作法に則って来る分には今度は受け入れるべきなんじゃないですかね。相当な漫画好きらしいので、引かれるほどの熱量の評論本とか出したら評価がガラッと変わりそうなもんだけど。

■追記

この記事を書いた直後、プロジェクトのカメラマン・鈴木心から一連の騒動に関するツイートがされた。

真木よう子に感じた「コミケ分かってない感」の元凶はお前か! しかも「ルール違反は何もしていないけど怒られたから謝っておきます、悪いのはコミケを理解しきれなかった真木よう子です」という感じがぷんぷんする…真木よう子は迂闊ではあったけど、彼女の謝罪の方がよっぽど真摯だった。次のコミケでの参加は自粛するとのことだけど、風当たりは強くなりそう。