かたくりかたこりかたつむり

やっぱり誤字脱字は氷山の一角

『Mosaic』感想・レビュー:現代社会のルーティンに埋もれて、ささやかな反抗の夢を見る

ノルウェーのスタジオ・Krillbite Studioによる、現代社会の風刺を多分に含んだアドベンチャーゲーム。『Mosaic』が体験させるのは、クソみたいな現代社会の生活から、ふとしたきっかけで抜け出すまでの物語だ。

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『INSIDE』感想・レビュー:無力な少年が敵の目をかいくぐって辿り着くその先は…

少年がひとり暗い夜の森を駆けてゆく。何者かに追われているのだ。見つかれば、待っているのは容赦のない死。口を塞がれ、銃で撃たれ、犬に噛まれ、あるいは溺れて死ぬ。彼らはあらゆる手段で少年を殺そうとしてくる。それに抗う術を持たない少年はとにかく逃げる。

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嘘なら上手く騙してくれ! 立ち止まる感情移入と没入感―『ファイアーエムブレム 風花雪月』ザルシナリオ考

※ストーリーのネタバレを含みます。

はじめに

katakurikatakori.hatenablog.com

以前書いたこの記事、ザル(粗がある)とタイトルにつけた割にはザルシナリオ部分の記述が少ないことに気付きました。ザルシナリオに対する言及なんだからザルでいいだろガハハ! と一旦思ったものの、整理してみるのも悪くはない。うん。やってみよう。なお、ザルザル言っていますが、一般的にはいわゆる「大味」というやつです。

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Sorrowful Soil (by Björk) 歌詞和訳

ビョークの母親が亡くなる少し前に書かれた曲。この後に続く"Ancestress"が明るい葬列なのに比べると、ストレートに悲しみに満ちた追悼です。彼女自身の母親だけでなく、一般的な「母」という存在を賛美するのは、近年とくに顕著な方向性でもあります。クワイアは、かつてビョークも所属し、ツアーにも帯同しているハムラリッド合唱団によるもの。

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Fossora (by Björk) 歌詞和訳

"Fossora"のタイトルトラックだけあって、キャッチーかつアルバムのコンセプトを象徴するような歌詞。
※"Fossora"はビョークの造語で、「掘る人」を意味するラテン語"Fossore"の女性形。

今回は、コロナ禍で家に閉じこもっている状態が、地中深く穴を掘ったりキノコが菌糸を伸ばすような感じだったんだそうな。

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Atopos (by Björk) 歌詞和訳

"Fossora"からの1曲目。「掘る人」を意味する"Fossore"の女性形のアルバムタイトルの通り、「地面を掘る」ような地を這うビートが印象的です。一方で歌詞は繋がりについて。でも曲調がダークでダンサブルなので、どっちかって言うと図太い地下茎みたいな繋がりっぽいような。

曲タイトル"Atopos(アトポス)"は、ロラン・バルトの『恋愛のディスクール・断章』からの着想とのこと。

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『ファイアーエムブレム 風花雪月』レビュー、ではない何か 風花雪月よ、お前もか〜雑LOVE・古さ・ザルシナリオのトリプルアタック〜

※主に支援会話まわりのネタバレあり。

はじめに

ファイアーエムブレム 風花雪月(以下、風花雪月)』、同窓生同士で殺し合えるらしい、というところにワクワクしてプレイしました。結果、元気にキレました。何なら2周目で放り投げました。適度なキレはウェルビーイングにいいらしいです。嘘です、普通に悪い。やめましょう。

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